善玉菌の入った製品は薬機法(旧薬事法)の規制対象になる?

近年、善玉菌の有用性が明らかになり、善玉菌を増やすための「腸活」という言葉も一般的に使われるようになってきました。善玉菌の入った製品も多数、出回っています。善玉菌の入った製品は薬事法の規制対象になるのでしょうか。

この記事では薬事法や善玉菌について、善玉菌の入った製品の種類などについて解説しています。

→薬機法(旧薬事法)に則った「夏バテ」の表現について解説

薬事法は医薬品と医薬部外品、化粧品および医療機器を規制し、指定薬物の規制に関する措置を講じるための法律です。医薬品や医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講じることで、保健衛生の向上を図ることも目的としています。

薬事法は戦後間もない1948年にできた法律で、不備も多く実情に合わなくなってきたため、2014年の改正に伴って「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と名称が変更されました。

一般的には、薬機法と略されることが多いです。薬機法では医薬部外品と化粧品などの定義を定め、健康食品の規制が行われていることが特徴です。

健康食品は、薬機法では定義されていません。

一般食品と同じ扱いですが、薬機法の目的である医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の品質・有効性および安全性を確保するという観点から、効果効能を謳った広告を使って販売した場合には医薬品とみなされて薬機法に抵触します。

効果効能を標榜する広告とは「高血圧の改善」、「生活習慣病の予防」などのような表示です。

食品は食品衛生法と、食品安全基本法によって定義されています。これらの法律で食品は「すべての飲食物」を指します。ただし薬機法で規定している医薬品と、医薬部外品を含みません。医薬品は薬事法や薬剤師法などで定義されていますが、医薬品の範囲に関する基準は「無承認無許可医薬品の指導取締についての厚生省薬務局長通知(通称46通知)」に定められています。

46通知は医薬品と食品を区別するために出されたもので、原材料が医薬品としてのみ使われるものや医薬品的な効果効能、医薬品的な形状や医薬品的な用法用量などを持つものが医薬品に当たります。医薬部外品は薬機法で定義され、「人体に対する作用が緩和で、機械器具等ではないもの」です。

吐き気や不快感などの防止や、脱毛の防止といった目的のための有効成分が含まれます。

善玉菌とは腸内細菌のうちの、人の健康に資する菌の総称です。代表的なものは乳酸菌やビフィズス菌です。人の腸内には善玉菌と悪玉菌のほかに、どちらでもない日和見菌がいます。最も多く生息しているのが日和見菌で、腸内環境が悪化すると悪玉菌に、腸内環境が良好なら善玉菌に変化しやすい性質を持っています。

健康な腸内は善玉菌が優勢で、腸内を酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑えます。腸の運動を活発にして、食中毒菌や病原菌の感染を予防し、発がん性を持つ物質が作られるのを抑制するなど多くの働きがあります。善玉菌を増やすにはビフィズス菌などの善玉菌を直接摂取する方法と、善玉菌の餌になる成分を取り入れる方法があります。

善玉菌を含む食品の代表には発酵食品があり、ヨーグルトや納豆、キムチやチーズが挙げられます。後者を含む食品成分はオリゴ糖や食物繊維です。野菜類や果物類、豆類を食べることで摂取できます。オリゴ糖はたまねぎや大豆、ねぎなどに多く含まれています。

特定保健用食品などで取り入れることも可能です。オリゴ糖は急に量を増やすと下痢をしたり、おなかが張ったりすることがあります。オリゴ糖製品から摂取する場合に指定の量で不調が起きた場合は、1回の量や1日の量を減らして腸内細菌をオリゴ糖に慣れさせましょう。

前述の通り発酵食品には善玉菌が入ったものが多くみられます。善玉菌が入った食品の代表とも言えるヨーグルトには、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品もあります。トクホは国が審査を行い、消費者庁長官が食品ごとに許可している食品です。

健康の維持や増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められており、特定の保健の目的が期待できるという保健用途の表示ができます。機能性表示食品は事業者が機能性関与成分に関する科学的根拠を消費者庁に届け出て、事業者の責任で機能性を表示している食品です。

食品に分類されるサプリメントにも善玉菌が入ったものがあります。機能性表示食品や、口内環境を整えることを目的とした、栄養機能食品の乳酸菌のサプリメントも購入できます。サプリメント自体の定義はないので、サプリメントの形状は様々です。

錠剤やカプセル、顆粒などの一般的なものから、ゼリーやドリンク、ペースト状のものもあります。

また、お菓子のようなサプリ系グミやなども販売されています。食品を規制する法律は食品衛生法と、食品安全基本法です。効果効能を表示した広告を使って製品を販売すると、法律的に医薬品とみなされて薬機法の規制対象となります。

整腸剤は善玉菌が入った医薬品です。病院で処方される医療用医薬品から、市販されている医薬品まであります。入っている善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌です。善玉菌の増殖を助ける糖化菌や酪酸菌などが、善玉菌と一緒に入っているものもあります。

ビフィズス菌や乳酸菌を含む整腸剤でも指定医薬部外品になっているものから、第2類・第3類医薬品まで様々です。指定医薬部外品は医薬品の販売規制緩和に伴って医薬品が医薬部外品に移行したもので、薬局だけでなくコンビニやスーパーなどでも買うことができます。

第2類医薬品は一般用医薬品で、日常生活に支障が出るほどの副作用の恐れがあるものです。薬剤師や登録販売者が常駐している店舗で販売が可能となっています。第3類医薬品も一般用医薬品に分類され、薬剤師や登録販売者の指導の下で、それらの資格のない人でも販売できます。

ネットでの購入も可能です。整腸剤は医薬品もしくは医薬部外品なので、薬事法の規制対象となります。

一口に善玉菌が入った製品と言っても、食品か医薬品かで規制される法律が異なります。ヨーグルトやキムチなどの一般的な食品や、食品に分類されるサプリメントは食品衛生法と、食品安全基本法で規制されます。ただし広告で効果効能を謳って販売すると、薬機法の規制対象となります。

整腸剤は医薬品や医薬部外品なので、薬機法の規制対象です。