薬事法違反に関する報道を目にする機会もある時代、薬事法でのok表現やNG表現に関する正しい知識を身につけておくといいですよ。ここでは、効能効果に注目して購入する機会が多いスキンケア用品を選ぶ際に役立つ情報をお届けします。
薬事法のガイドラインへの理解を深めて、家族みんなで安心して使える商品選びをしてください。
薬機法では、医薬品などの効果や効能について、虚偽または誇大な記事を広告することを厳しく禁止しています。また、薬事法の規制対象となるものとしては、医薬品や医薬部外品・医療機器、化粧品、健康食品、健康器具が挙げられます。
医薬品には、医師から処方される薬と薬局等で購入できる市販薬の両方が含まれます。医療機器としては、コンタクトレンズや補聴器、体温計などがあります。化粧品としては、化粧水や乳液といったスキンケア用品から、ファンデーションや口紅といったメーキャップ用品など幅広い品物が挙げられます。
また、ひげそり用剤や薬用せっけん、歯磨き剤なども化粧品に含まれます。健康食品は、サプリメントや健康目的の成分を配合した食品やドリンクを指します。健康器具には、マッサージ器具や加圧シャツといった健康目的のものだけでなく、美顔器やフェイススチーマーといった美容目的のものも含まれます。
薬用化粧品では、どの程度の効能効果を表現することが認められているのでしょうか。医薬部外品の扱いである薬用化粧品では、特定の疾患名を記すのはNGとされています。また、「治る」「消える」といった医学上、薬学上認められている範囲を越えた表現をすることもNGです。
具体的に、どのような表現がok、NGであるかを確認しておきましょう。「肌荒れ・荒れ性を予防できる化粧水」といった肌質の改善や予防をうたった表現であれば大丈夫です。UVケア商品を選ぶ際の効能効果の目安となる「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」という表現も、ok表現の一例です。
「アトピーの予防に効果的」といった特定の疾患名を記した表現は、NGに当たります。特定の疾患名を記した薬用化粧品は薬機法違反にあたるという点をしっかり覚えておいてください。
薬用化粧品は医薬部外品の扱いになり、一般の化粧品とは扱いが異なります。一般の化粧品は、人体に対する影響が比較的緩和なものと定められているため、健康上の効果をうたうのはNGです。薬用化粧品では、皮膚の殺菌・除菌効果や、肌荒れの改善といった効能効果を表示できますが、一般化粧品では認められていません。
ドラッグストアで化粧品を選ぶ際は、一般化粧品と薬用化粧品が同じ売り場に陳列されていることもありますよね。自分が購入を検討している商品が、一般化粧品と薬用化粧品のどちらに分類されるかをきちんと認識したうえで、適切に効能効果が表示されているかをチェックするようにしてください。
薬機法では、一般化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、皮膚もしくは毛髪を健やかに保つためのものと定義づけられています。一般化粧品で表現可能な効能効果は、全部で56個です。頭皮・毛髪についての項目、皮膚についての項目、香りについての項目、爪についての項目、唇についての項目、オーラルケアについての項目、と使用する部位に応じて効能効果がわかりやすく示されています。
平成23年7月21日に、56個目の項目として追加されたのが、乾燥による小じわを目立たなくするという効能です。悩みを抱える人が多い小じわに対する効能をうたった項目が加わったことで、しわ対策のできるスキンケア用品が選びやすくなりました。
一般化粧品で標榜できる効能効果のなかでも、皮膚についての項目がもっとも項目数が多く、細かに効能効果が規定されています。皮膚を清浄にする、(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)、肌を整える、肌のキメを整える、皮膚をすこやかに保つ、肌荒れを防ぐといった効能効果は、皮膚をきちんと洗浄して、清潔で健康的な状態に保てる商品を選ぶための指針ともなるものです。
肌が乾燥しがちな人の場合は、皮膚にうるおいを与える、皮膚の水分・油分を補い保つ、皮膚の柔軟性を保つ、皮膚の乾燥を防ぐ、といった効能効果を記したスキンケア用品を選ぶことで、肌質を改善しやすくなるでしょう。
一般化粧品には、ひげそり剤も含まれるため、ひげを剃りやすくする、ひげそり後の肌を整えるという効能効果も記されています。
スキンケア用品の広告をパッと見て、薬機法に合っているか違反であるかを判断できる人はさほど多くはないことでしょう。一見似ているように思える表現であっても、ok表現だったり、NG表現だったりするので、表現を細かくチェックする目を養うことが大事です。
薬事法では、化粧品の効果効能として「あせもを防ぐ」と表記することが認められています。しかしながら、あかぎれやしもやけに関する効能効果を表示することは認められていないため、「あせも・あかぎれを防ぐ」という表現はNGとなります。
また、薬機法では、安全・安心といった安全性を保証するような表現をすることもNGとされています。「無添加で、余計なものは使用していない化粧水」という表現はOKですが、「無添加のため、敏感肌でも安心して使える化粧水」という表現は、NGとなります。
また、薬事法で規制されているのは、言葉だけではありません。化粧品の広告で、商品の使用前と使用後のビフォーアフターの写真を並べて掲載することは厳しく禁じられています。シワの目立つ肌の写真と、シワのない若々しい肌の写真が並べて掲載されていれば、写真を見比べることで、言葉以上に効果が伝わりますよね。
効果の確実性を期待させるような写真に惑わされることがないよう、消費者を守ってくれる項目だと言えるでしょう。
薬機法では、私たちの生活に欠かせない商品の効能効果に対して、細かく規定されています。薬機法の規制対象となるのは、正しく使用すれば健康面でプラスになる一方で、誤った認識に基づいて取り入れると健康被害を受けることもあるものです。
健康的で明るい毎日を送るため、薬機法のルールに従って効能効果が表記されたものを適切に選ぶようにしましょう。