家庭用の常備薬の薬箱のなかや、バッグのなかに絆創膏を用意しているという人もいるのではないでしょうか。私たちにとって身近なアイテムのひとつでもある救急絆創膏は、薬事法では医薬品に分類されるもの、医薬部外品に分類されるもの、医療機器に分類されるものと3種類に区分されます。
ここでは、それぞれの救急絆創膏の特徴や選ぶ際に役立つ情報をお伝えします。
絆創膏には、患部に塗布して被膜をつくる水絆創膏や、サージカルテープや包帯といったテープ絆創膏など、色んな種類があります。
一般家庭でよく使用する救急絆創膏については、身体の部位に用いるもので、接着剤を付した布製もしくはプラスティック製等の各種形状の絆創膏材と定義づけられています。
薬機法の通称でも知られる「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」においては、救急絆創膏は「医薬品」「医薬部外品」「医療機器」の3種類に分類されています。製品区分によって、配合成分が異なり、期待できる効能効果にも差があるため、使用する用途によって適切に選ぶことが大切です。
ドラッグストアや薬局の救急絆の売り場では、3つの分類を特に区分せずに陳列されていることもあります。消費者自身がパッケージをきちんと確認した上で、目的に合う救急絆創膏を選ぶように心掛けることが求められます。
医薬品や医薬部外品に分類される救急絆創膏の特徴としては、中央のパッドに薬剤を含んでいるという点が挙げられます。一定濃度のアクリノールや、塩化ベンザルコニウムといった殺菌消毒薬がパッド部分に含まれているため、殺菌消毒効果があります。
効能のある薬用成分を含む製品であるため、薬に対してアレルギー反応を起こしたことのある人の場合は、医師や薬剤師に相談した上で使用するようにしましょう。また、使用後に発疹やかゆみなど肌の異常が生じた場合は、速やかに使用を中止した上で、医師の診察を受けてください。
ドラッグストア等で手軽に手に入れられる商品ではありますが、体質によっては合わないケースがあると認識しておくことが大事です。救急絆創膏のパッド部分に使用されるアクリノールや塩化ベンザルコニウムは、あまり聞き馴染みのない薬品名かもしれませんが、実は意外と身近なところでも使用されている薬剤です。
アクリノール液は、切傷、すり傷などの殺菌・消毒に効くキズ薬として長く使われてきました。また、塩化ベンザルコニウムは、消毒薬として医療現場などで古くから使われてきた薬剤で、逆性石けんとも呼ばれています。普通の石けんは、汗や皮脂などと反応して、泡立ちながら水と混ざり合う働きがあります。
一方で、逆性石けんの場合は、カビや細菌などを引き寄せ、それらの細胞を変質させるという働きをします。逆性石けんの性質を持つ塩化ベンザルコニウムは、新型コロナウィルスに対して効果があることから、消毒液や拭き取り液に配合され、一般販売される機会が増えている薬剤です。
薬機法では、医療機器は、「人もしくは動物の疾病の診断・治療もしくは予防に使用されること、または人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」と定義されています。医薬品や医薬部外品に分類される救急絆創膏と、医療機器に分類される救急絆創膏には、大きな違いがあります。
医療機器に分類されるものの場合は、パッド部分に薬剤が含まれていません。薬剤による殺菌消毒の効果はなく、患部の保護を目的として使用するのに適した救急絆創膏です。アレルギー体質の場合であっても、比較的使用しやすい救急絆創膏とも言えます。
薬品を含んだパッドを使用している医薬品や医薬部外品の救急絆創膏と比べると、価格的に手頃で購入しやすいのも特徴です。傷口を保護するために安価で購入できる救急絆創膏を求めている場合は、医薬機器の救急絆創膏を購入するとよいでしょう。
近年注目を集めている救急医療用具のひとつが、傷を早く治す効能を持つ救急絆創膏です。人間の持つ自然治癒力を引き出すことで、傷を早く治せる救急絆創膏の登場は、怪我をしたらまず殺菌消毒をするというこれまでの傷との向き合い方とは異なる方向性を持つものとして、注目を集めました。
モイストヒーリングと呼ばれる傷口をぴったり覆う方法を取ることで、従来のドライヒーリング法よりも傷を早く修復する力が促されるとされています。また、パッド部分に血液をジェル状に固める吸収性高分子を配合した救急絆創膏もあります。
救急絆創膏を選ぶ際には、医薬品、医薬部外品、医療機器という薬事法上の分類だけでなく、絆創膏の土台となる基材にも注目して選ぶようにしましょう。自分にとって使い心地のよい素材の救急絆創膏を用意しておくと、万が一怪我をしてしまった時にも、対応がしやすくなります。
伸縮性綿布で作られた布絆創膏は、肌馴染みがよく、湯仕事や水仕事に対しても強い粘着力を持っていて、日常生活を送りやすい点が特徴です。ウレタン不織布製は、伸縮性が高くフィット感があることに加えて、通気性に優れているのも特徴で、救急絆創膏の基材としての需要が高まっています。
ウレタンフィルム製は、防水性が抜群であることから、水仕事を行う機会が多い主婦層から支持されています。
また、サイズや形状にこだわって救急絆創膏を選ぶことも重要です。救急絆創膏の商品のラインナップを見ると、同じシリーズ内にも、SSサイズからジャンボサイズまで、幅広いサイズの商品があることが分かります。患部に適したサイズの救急絆創膏を選び、傷口が悪化することがないように注意してください。
救急絆創膏は、怪我をしたら使用するものというイメージが強いものですが、傷をつくらないために絆創膏を貼っておくという使い方もできます。例えば、靴擦れができやすい部分に予めクッション性の絆創膏を貼っておけば、靴擦れ等のトラブルが防ぎやすくなります。
身近にある救急絆創膏の用法や選択肢の幅広さを知って、快適に使用できるようにしてくださいね。
救急絆創膏には、パッド部分に薬剤を含むものと、含まないものがあります。薬剤を含む場合は、薬機法では医薬品や医薬部外品と分類され、薬剤を含まない場合は、医薬機器に分類されます。医薬品や医薬部外品の救急絆創膏には殺菌消毒効果があるのが大きな特徴です。
用途によって適した製品が異なるため、救急絆創膏を購入する際にはパッケージをしっかりチェックするようにしてください。※2段落目: "新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告をとりまとめました。~物品への消毒に活用できます~". 独立行政法人 製品評価技術基盤機構.
https://www.nite.go.jp/information/osirase20200626.html (参照2023-02)